工場やビル、商業施設などでキュービクルの更新を検討するとき、まず気になるのが「いくらかかるのか」ではないでしょうか。ただ、キュービクルの更新費用は、本体価格だけでは決まりません。受電容量や交換する機器の範囲、設置場所、搬入方法、配線工事、既存設備の撤去、工事を行う時間帯などによって必要な工事が変わるためです。
同じキュービクル更新でも、地上に設置された設備を交換する工事と、屋上にある設備をクレーンで搬出・搬入する工事では条件が大きく異なります。そのため、更新費用を考えるときは「キュービクル本体はいくらか」だけを見るのではなく、見積もりに何が含まれているのかを確認することが重要です。
この記事では、キュービクル更新にかかる主な費用の内訳や、金額が変わる条件、見積もりを確認するときのポイントについて解説します。
キュービクルの更新費用は一律ではない

キュービクルの更新費用には、すべての現場に当てはまる一律の価格はありません。キュービクルは、変圧器や遮断器、開閉器、保護継電器、コンデンサなど複数の高圧機器で構成されており、設備の容量や設置場所も施設ごとに異なります。そのため、同じ「キュービクル更新」という工事でも、どこまで交換するかによって見積金額は変わります。
キュービクルの容量によって使用する機器が変わる
工場や施設で必要になる電力が大きければ、それに対応できる変圧器や高圧機器が必要になります。変圧器の容量や台数、高圧機器の構成が異なれば、使用する機器や施工内容も変わるため、別の工場や施設で行ったキュービクル工事の金額を、そのまま自社の更新費用として考えることはできません。
どこまで交換するかによって費用が変わる
更新には、老朽化した機器だけを交換する方法と、キュービクルを構成する設備をまとめて更新する方法があります。たとえば変圧器だけを更新する場合と、キュービクル本体、高圧ケーブル、変圧器、遮断器などをまとめて更新する場合では工事範囲が異なります。
「キュービクルが古いから全部交換する」と最初から決めるのではなく、現在の設備状態や各機器の設置年を確認したうえで更新範囲を決めます。
設置場所によって搬入方法が変わる
キュービクルが地上の搬入しやすい場所にあるのか、建物の屋上や狭い場所に設置されているのかによっても工事条件は変わります。屋上に設置されたキュービクルでは、クレーンなどを使用して既存設備を撤去し、新しい設備を搬入するケースがあります。
サンワ電気が神奈川県藤沢市で行った受変電設備更新工事でも、ビル屋上のキュービクルを交換するためクレーンを使用し、交通量や周辺の安全を考慮して夜間に作業を行っています。こうした搬入条件や作業時間も、更新工事の見積もりを左右する要素です。
キュービクル更新費用の主な内訳

キュービクル更新の見積もりを確認するときは、総額だけではなく、どの工事に費用がかかっているのかを確認します。
キュービクル本体や高圧機器
まず必要になるのが、更新する設備そのものです。キュービクル内には、変圧器や遮断器、開閉器、保護継電器、コンデンサなどさまざまな機器があり、どの機器を更新するのか、何台必要なのかによって機器費は変わります。また、現在と同じ設備へ単純に交換するのではなく、今後の設備増設を見据えて容量を変更する場合もあります。
既存設備の撤去と処分
新しいキュービクルを設置するためには、既存設備の撤去も必要です。古い設備を取り外して現場から搬出し、適切に処分します。屋上や搬出経路が限られている場所では、既存設備をどのように外へ出すかまで事前に計画する必要があります。
搬入と据付
キュービクルは大型の電気設備になるため、設置場所によってはユニック車やクレーンなどを使用します。車両を配置できる場所があるか、道路を使用できるか、建物や電線などの障害物がないかといった条件も確認します。
サンワ電気では、高所作業車やユニック車、バックホーなどの重機を自社で保有しています。
高圧・低圧側の配線工事
新しいキュービクルを設置した後は、電力を受ける高圧側と、工場や施設内へ電気を送る低圧側の配線を接続します。キュービクルだけを置けば工事が終わるわけではなく、既存ケーブルをそのまま使用できるのか、高圧ケーブルや幹線まで更新する必要があるのかによって工事範囲が変わります。
当社が東京都立川市の商業施設で行った変電設備工事では、キュービクルの設置に加えて、高圧側から低圧側までの配線と接続作業を行っています。
試験や調整
設備を設置して配線を接続した後は、安全に使用できる状態になっているか確認します。受変電設備は工場や施設全体への電力供給に関わる設備のため、施工後の確認まで含めて工事計画を考える必要があります。
キュービクルの更新費用が高くなりやすい条件

見積金額が想定より高い場合、「キュービクル本体が高い」とは限りません。現場条件によって必要になる作業が増えているケースもあります。
受電容量が大きい
工場など多くの電力を使用する施設では、変圧器の容量や台数が増えることがあります。キュービクル内部の機器構成も変わるため、受電容量は見積もりを左右する条件の一つです。
交換する高圧機器が多い
長期間使用している設備では、変圧器だけでなく遮断器や保護継電器など複数の機器が更新時期に近づいている場合があります。日本電機工業会(JEMA)は、通常の点検を行いながら使用している場合でも、各高圧機器には構成材料の劣化などを考慮した更新推奨時期があるとしています。
たとえば高圧配電用変圧器については、更新推奨時期を20年としています。ただし、これは製造業者による保証値ではなく、設備の使用環境などによって劣化の進み方は異なります。一つの機器だけを見るのではなく、残っている設備の年数も確認して更新範囲を決めることが重要です。
参照:一般社団法人日本電機工業会「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査」
参照:一般社団法人日本電機工業会「配電用6kV変圧器の保守点検のおすすめ」
屋上など搬入しにくい場所に設置されている
キュービクルが屋上や建物の奥などに設置されている場合、搬出・搬入のために重機や追加の作業が必要になることがあります。クレーンを使用する場合は、設備の重量だけではなく、クレーン車を配置する場所や作業半径、周辺環境なども確認します。
現地を確認せずに、キュービクル本体の仕様だけで正確な工事費用を出すことが難しい理由の一つです。
高圧ケーブルなど周辺設備も更新する
キュービクル本体だけではなく、高圧ケーブルなど周辺設備も老朽化している場合があります。サンワ電気が神奈川県藤沢市で行った受変電設備更新でも、キュービクルとあわせて高圧ケーブルを更新しています。キュービクルだけ交換するのか、その周辺まで更新するのかでも工事費用は変わります。
夜間や休日にしか工事できない
受変電設備を更新するときは、施設への電力供給を停止する時間が発生する場合があります。工場や店舗、ビルなどでは通常の稼働時間中に設備を止められないこともあるため、休日や夜間など、施設への影響が少ない時間帯に合わせて工事を行います。
サンワ電気の藤沢市での施工でも、周辺環境や交通量を考慮して夜間工事を行っています。工事費だけを見るのではなく、施設をいつ停止できるのかも早い段階で施工会社へ伝えておくことが重要です。
部分更新とキュービクル全体更新はどちらがよいのか

キュービクルが古くなってきたからといって、必ずすべての機器を同時に交換するとは限りません。一方で、古くなった機器を一つずつ交換し続けることが、必ずしも経済的とは限りません。
一部の機器だけ劣化している場合
比較的新しい設備で、特定の機器だけに問題がある場合は、その部分だけを更新できることがあります。既存設備を活用できれば工事範囲を抑えられる可能性がありますが、他の高圧機器が何年使用されているかも確認したうえで判断します。
複数の機器が更新時期に近づいている場合
変圧器や遮断器、保護継電器など複数の機器が長期間使用されている場合、一つだけ交換しても数年後に別の機器の更新が必要になる可能性があります。そのたびに停電して工事を行うと、工事費だけではなく施設の停止回数も増えるため、まとめて施工する場合と個別に施工する場合を比較して検討します。
今後設備を増設する予定がある場合
工場では、キュービクルの更新時に将来の設備計画も確認しておくことが重要です。新しい生産機械や空調設備を導入する予定がある場合、現在と同じ容量の設備へ交換すると、その後すぐに容量増設工事が必要になる可能性があります。
サンワ電気では、設備増設や更新も見据えた電気設備工事に対応しています。
キュービクルの更新範囲が決まっていない場合でも、現在の設備状況や今後の増設計画を確認しながら整理できます。
キュービクルの見積もりで確認したいポイント

キュービクル更新の見積もりを比較するときは、最終的な金額だけを見るのではなく、工事範囲を揃えて確認することが重要です。
どこまで交換する見積もりなのか
まず確認したいのが、更新対象になっている設備です。キュービクル本体だけなのか、変圧器や高圧ケーブルなども含むのかによって見積内容は異なります。金額に差がある場合は、施工会社ごとに更新対象が違っていないか確認します。
撤去・処分・搬入まで含まれているか
新しい設備の設置費だけでなく、既存設備の撤去や搬出、処分、クレーンやユニック車などの費用が含まれているかも確認します。特に大型設備では、設備本体以外の作業が見積金額に大きく影響することがあります。
停電時間と工事日程を確認する
工場や施設の担当者にとっては、更新費用と同じくらい重要なのが停電時間です。何時から設備を止め、いつ復電できる予定なのかを事前に確認し、工場の場合は生産計画や出荷予定なども考慮しながら工事日を決めます。
追加工事が発生する条件を確認する
現場調査で確認できる範囲には限界があり、既存設備を撤去して初めて分かる状況が出てくる場合もあります。そのため、どのような場合に追加工事が発生する可能性があるのかを、見積もり段階で確認しておくことも大切です。
「見積金額が適正なのか分からない」「全面更新が必要なのか判断できない」といった場合も、設備の状態と見積範囲を一つずつ確認することで整理しやすくなります。
キュービクル更新は故障する前に計画する

キュービクルは、故障してから初めて更新を考える設備ではありません。一般社団法人日本電機工業会も、受変電設備の信頼性を確保するため、各種高圧機器について更新計画の目安となる更新推奨時期を示しています。
参照:一般社団法人日本電機工業会「汎用高圧機器の更新のおすすめ」
故障してから緊急で交換する場合、工事日や停電時間を自由に選べないことがあります。一方、計画的な更新であれば、工場の休業日や設備停止日に合わせて工事を計画できます。
有限会社サンワ電気では、工場や商業施設、ビルなどの受変電設備工事に対応しています。神奈川県藤沢市のビルでは、古くなった受変電設備の更新工事を実施し、工期1日で施工した実績があります。設備条件や施工場所によって工期は異なりますが、施設の運用状況を確認したうえで工事計画を立てます。
また、受変電設備だけではなく、動力設備や配線工事など、その先の電気設備まで対応しています。「キュービクルが古くなってきたので更新費用を知りたい」「点検で更新をすすめられたが、どこまで交換すべきか分からない」「更新と同時に工場の電気容量も増やしたい」といった段階でもご相談いただけます。
まずは既存設備の容量、設置年、点検結果、設置場所、今後の設備計画を確認し、必要な更新範囲を整理することが重要です。キュービクルや受変電設備の更新・見積もりをご検討中の法人様は、有限会社サンワ電気までご相談ください。

