工場に新しい機械や生産ラインを導入するとき、「今の電気容量のままで足りるのか」と悩むことがあります。
特に大型の工作機械やコンプレッサー、業務用空調などを追加する場合、機械を設置して電源につなぐだけでは済まないことがあります。
現在の受電設備や変圧器、幹線、分電盤などの容量が足りなければ、機械を動かせなかったり、稼働させたときにブレーカーが落ちたりする可能性があるためです。
工場の電気容量を増やす場合は、分電盤だけを見るのではなく、工場に入ってくる電気から実際の機械まで、電気の流れ全体を確認することが重要です。
この記事では、工場で電気容量の増設が必要になるケースや、確認する設備、容量を増やすために必要な工事について解説します。
工場で電気容量の増設が必要になるケース

工場の電気容量を見直すきっかけとして多いのが、新しい設備の導入です。
ただし、設備を追加するときだけが容量増設のタイミングではありません。
新しい工作機械や生産設備を導入する
マシニングセンタや旋盤、プレス機、溶接機など、新しい生産設備を導入すると、それまでより大きな電力が必要になる場合があります。
特に三相200Vの動力を使用する設備では、現在の設備容量に余裕があるか確認してから導入する必要があります。
機械本体の価格や設置スペースだけを確認して購入を決めてしまうと、後から電気設備の増設が必要だと分かることがあります。
生産ラインを増設する
既存の機械と同じ設備をもう1台追加する場合でも、工場全体で同時に使用する電力は増えます。
今までは問題なく稼働していた工場でも、生産ラインの増設をきっかけに受電設備や変圧器の容量が不足することがあります。
将来的にさらに設備を追加する予定がある場合は、今回必要な容量だけではなく、その先の設備計画も含めて確認した方が二重工事を避けやすくなります。
ブレーカーが頻繁に落ちる
設備の稼働状況によってブレーカーが頻繁に落ちる場合、電気容量不足が原因の一つとして考えられます。
ただし、ブレーカーが落ちる原因は容量不足だけではありません。漏電や設備の故障、配線の劣化などでもブレーカーは作動します。
原因を調べないままブレーカーだけを大きくするのではなく、どの設備を動かしたときに発生するのか、どこで遮断されているのかを確認する必要があります。
空調やコンプレッサーなどを追加する
生産設備以外でも、業務用エアコンやコンプレッサー、ポンプなどを追加すると電力使用量は増えます。
「生産機械ではないから影響は小さい」とは限りません。
複数の設備を同時に稼働させる工場では、追加する機器だけではなく、既存設備を含めた使用状況から必要な容量を判断します。
工場の電気容量は分電盤だけを見ても判断できない

「空いているブレーカーがあるから、新しい機械もつなげられる」と考えることがあります。
ただ、工場全体の電気容量は分電盤の空き回路だけでは判断できません。
電力会社から受けた電気が機械へ届くまでには、受変電設備や変圧器、幹線、分電盤など複数の設備があります。
現在の契約電力を確認する
まず確認したいのが、現在どのような電気契約になっているかです。
使用する電力が増えると、契約内容の変更が必要になる場合があります。
東京電力エナジーパートナーでは、低圧電力について動力機器を増設・減設する場合や契約の算定方法を変更する場合、契約の見直しが必要になると案内しています。
参照:東京電力エナジーパートナー「低圧電力における契約電力の大きさや決め方について」
契約内容や必要な手続きは、供給電圧や契約している小売電気事業者などによって異なるため、実際の工事では個別に確認します。
受変電設備と変圧器の容量を確認する
高圧で電気を受けている工場では、キュービクルなどの受変電設備で高い電圧を工場内で使用できる電圧に変えています。
その中心になる設備の一つが変圧器です。
新しい機械を追加する余裕が分電盤にあっても、変圧器側の容量に余裕がなければ、工場全体としては増設できない場合があります。
東京電力エナジーパートナーでも、契約受電設備である変圧器を取り替える場合は、増加・減少にかかわらず申込みが必要と案内しています。
参照:東京電力エナジーパートナー「契約電力の決定方法(実量制)」
幹線の容量を確認する
受変電設備から分電盤まで電気を送っている太い電線を幹線と呼びます。
変圧器に余裕があっても、既存の幹線が追加する電流に対応できなければ、そのまま使用することはできません。
どこまで既存設備を利用できるかによって、必要になる工事範囲も変わります。
分電盤と各回路を確認する
最後に確認するのが、機械へ電気を分ける分電盤やブレーカー、配線です。
新しい設備に必要な電圧や電流に合わせて、専用回路を追加したり、分電盤そのものを増設したりする場合があります。
当社の既存記事でも、工場の配電盤は受けた電気を変圧して各設備へ送り、分電盤は工作機械や照明などへ電気を分配する役割として解説しています。
機械を増設する前に必要な電気容量を確認する

工場の電気容量を確認するときは、「新しい機械が何kWなのか」だけを見ればよいわけではありません。
現在使用している設備と、新しく導入する設備を合わせて考えます。
導入する機械の仕様を確認する
まず、導入予定の機械の仕様書や銘板から、必要な電源を確認します。
確認したいのは、電圧、相数、定格容量や定格電流などです。
同じように見える設備でも、単相200Vを使用するものと三相200Vを使用するものがあります。
購入前の段階で機械メーカーから電気仕様を取り寄せておくと、電気工事の検討が進めやすくなります。
同時に動かす設備を整理する
工場では、設置されているすべての機械が常に最大出力で動いているとは限りません。
そのため、設備の容量を単純に足すだけではなく、どの設備を同時に使用するのかも確認します。
朝から夕方まで動き続ける設備なのか、1日に数回しか動かさない設備なのかでも、実際の使用状況は変わります。
モーターを使用する設備は起動時も考慮する
モーターを使用する設備では、起動するときに通常運転時とは異なる大きな電流が流れることがあります。
そのため、定格運転時だけを見て設備を選定すると、機械を起動したタイミングでブレーカーが作動するといった問題につながる可能性があります。
設備の仕様や始動方式なども確認したうえで、ブレーカーや配線を選定します。
将来の設備増設も確認する
半年後や1年後にさらに機械を追加する予定が決まっている場合は、その計画も電気工事会社へ伝えておくことをおすすめします。
今回の機械だけに合わせて設備を作り、数か月後にもう一度分電盤や幹線を交換することになれば、工事回数も工場を止める回数も増えます。
当社では、現在必要な設備だけではなく、将来的な設備増設や運用も考慮した設備提案を行っています。
工場の電気容量を増やすために必要になる工事
調査の結果、現在の電気設備では容量が足りないと分かった場合は、不足している場所に合わせて工事を行います。
必ずしもキュービクルまで交換するわけではありません。
動力回路や専用回路を増設する
既存の受電設備や分電盤に十分な余裕がある場合は、新しい機械まで専用の配線を施工することで対応できることがあります。
工場では三相200Vの動力設備が多く使用されるため、導入する機械に合わせて動力回路を新設します。
機械の設置場所が変わる場合には、生産ラインのレイアウトに合わせて電源の移設が必要になることもあります。
幹線や分電盤を増設・更新する
受変電設備には余裕があっても、既存の幹線や分電盤では新しい設備に対応できない場合があります。
その場合は、幹線の張り替えや分電盤の増設・更新を行います。
将来的に機械を追加する計画があるなら、必要に応じて予備回路や増設余地も考慮します。
変圧器やキュービクルを増強する
工場全体で必要になる電力が大きく増える場合、既存の変圧器では容量が足りなくなることがあります。
この場合は、変圧器の増容量や増設、受変電設備全体の見直しが必要になります。
当社では、工場・施設の受変電設備から動力設備、配線工事まで対応しています。
必要に応じて契約変更の手続きを行う
電気設備を増設すると、電力会社への契約変更や設備変更の申込みが必要になる場合があります。
東京電力パワーグリッドでは、低圧の100V・200V供給について、新設だけでなく契約変更・設備変更の申込み手続きを設けています。
参照:東京電力パワーグリッド「低圧供給 新設・契約変更・設備変更に関するお申込みの流れ」
工場の契約や設備条件によって必要な手続きは異なるため、設備工事と合わせて確認しておくことが重要です。
「新しい機械を導入したいが、今の設備で動かせるか分からない」という段階でも構いません。当社では、受変電設備から分電盤、動力設備まで確認したうえで、必要な工事内容をご提案します。
工場の電気容量増設にかかる費用や工期が変わる条件

工場の電気容量増設は、設備によって工事範囲が大きく異なります。
そのため、「機械1台を追加するなら一律○万円」と決めることはできません。
どこまで設備を変更するか
既存の分電盤から新しい機械まで配線するだけで済むケースと、変圧器やキュービクルまで変更するケースでは工事内容が大きく異なります。
まずは現在どこに容量の余裕があり、どこから設備変更が必要になるのかを調査します。
機械までの配線距離
分電盤から機械まで距離があるほど、使用するケーブルの長さや施工範囲も増えます。
工場内に配線ルートが確保されているか、新しくラックや配管を設置する必要があるかによっても内容は変わります。
受変電設備の変更が必要か
容量増設によって変圧器やキュービクルまで変更する場合は、機械側の電源工事だけの場合よりも工事範囲が広くなります。
実際に当社では、キュービクルの設置から高圧側・低圧側の配線、接続まで行った受変電設備工事の実績があります。
工場を止められる時間
既存設備の電源を切って作業する必要がある場合、工場の操業スケジュールとの調整が必要です。
平日の昼間に設備を停止できるのか、休日や夜間にしか工事できないのかによって、工程の組み方も変わります。
生産への影響を抑えるためには、工事内容だけでなく「いつ、どの設備を止めるか」まで含めて事前に計画しておくことが重要です。
新しい機械を購入する前に電気設備を確認する

工場の設備増設で避けたいのが、機械を搬入した後に電気容量が足りないと分かるケースです。
機械の納入日が決まっているにもかかわらず、変圧器や幹線の変更が必要だと判明すれば、予定していた時期に設備を稼働できない可能性があります。
そのため、新しい機械や生産ラインの導入を検討し始めた段階で、次の情報を整理しておくとスムーズです。
・導入予定の機械名や仕様書
・使用する電圧や必要電力
・機械の設置予定場所
・導入予定時期
・同時に稼働する既存設備
・今後予定している追加設備
これらが分かれば、現在の受変電設備や変圧器、幹線、分電盤で対応できるのかを確認しやすくなります。
当社は埼玉県深谷市を拠点に、工場や施設の受変電設備工事、動力設備工事、配線工事などに対応しています。
分電盤の先だけを見るのではなく、受変電設備から機械まで一連の電気設備を確認できるため、「どこを変えれば新しい機械を入れられるのか」という段階からご相談いただけます。
設備を購入してから容量不足に気づくより、導入前に確認しておいた方が、工事内容や稼働開始日を計画しやすくなります。
工場への機械導入や生産ライン増設に伴う電気容量・動力電源の増設をご検討中の法人様は、有限会社サンワ電気までご相談ください。

